政治(学)

ガンジーとヒトラーの共通点は何か?

ガンジーがヒトラーへ宛てた手紙「我が友よ」 http://karapaia.livedoor.biz/archives/52094032.html はてなブックマーク経由で知った。この記事自体はガンジーがヒトラー宛の手紙の冒頭で「Dear friend」と書いたというだけの話で何のことはない。 「一般に…

津田大介『情報の呼吸法』

以前、山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(2011)という本を「ぜひとも広く読まれるべき本だと思ったので」紹介した。その記事を津田大介氏にtwitterで言及してもらったらしく、その記事は(本ブログにしては)よくアクセスされた。 なので「読…

なぜ日本ではリフレ政策(インフレ目標)が効かないのか?:安達誠司(『円高の正体』)× 飯田泰之

SYNODOSより。 『円高が好きな人たちの「正体」とは? ―― 安達誠司(『円高の正体』)× 飯田泰之』 http://synodos.livedoor.biz/archives/1901440.html エコノミストの安達氏と経済学者の飯田氏(駒沢大)の対談。「円高は日銀のせいだ」という岩田規久男氏(…

伊東光晴『日本の伏流』

2011年に出版された本を紹介する40冊目。前回まで紹介していた高橋洋一氏と同様「経済+政治ニュース」の本として伊東光晴氏の単著の読書メモを。伊東氏は6冊目に紹介したケインズ学会編、平井俊顕監修『危機の中でケインズから学ぶ』の執筆者の一人でもある…

高橋洋一『財務省が隠す650兆円の国民資産』

2011年に出版された本を紹介する39冊目。前回紹介した『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』に続いて高橋洋一氏。今回は36冊目の『官愚の国』と同様に高橋氏のベースである官僚批判本。2011年の高橋氏の著書ではベストかな。財務省が隠す650兆円の国…

高橋洋一、三橋貴明『大震災で日本は金持ちになるか、貧乏になるか』

2011年に出版された本を紹介する37冊目。前回紹介した『官愚の国』に続いて高橋洋一氏。今回は三橋貴明という人と章ごとの分担執筆になっている。三橋氏の本ははじめて読んだが「信用できない」という印象を受けた。高橋氏の方はいつもの重複ぶりで新しい話…

高橋洋一『官愚の国』

2011年に出版された本を紹介する36冊目。前回紹介した『高橋教授の経済超入門』に続いて高橋洋一氏。本書は『さらば財務省!』(2008)から延々と出し続けている官僚批判本の一冊。氏の官僚批判本はどれも似たようなものだが、本書は特に重複が激しく新しい内…

高橋洋一『高橋教授の経済超入門』

2011年に出版された本を紹介する35冊目。前回紹介した『これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本』に続いて高橋洋一氏。本書は経済ニュースのキーワードを解説する日本経済入門本という位置づけだが、実際はいつもの「増税反対、日銀法を改正してイン…

高橋洋一『これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本』

2011年に出版された本を紹介する34冊目。前回紹介した『この経済政策が日本を殺す』に続いて高橋洋一氏。本書も似たような内容の本。高橋氏の著書は、数は多い一方、内容の重複っぷりは半端ない。これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本 (アスコムBOO…

高橋洋一『この経済政策が日本を殺す』

2011年に出版された本を紹介する33冊目。前回紹介した岩田規久男氏が自分の中では「経済ニュース担当」という位置づけだが、「経済+政治ニュース担当」なのが高橋洋一氏。経済政策に関しては二人の主張は結構共通している。高橋氏は経済政策を政治過程に基…

「搾取される感じがするものはとにかくもう嫌なんですよ」:単なる無知と本質を突いてる部分とがある

togetterより。 「搾取される感じがするものはとにかくもう嫌なんですよ」 http://togetter.com/li/255204おもしろかったのでコメントしてみる。推敲などしていないので荒っぽいが。 ●アッパーミドルうんぬん 知識なさ過ぎ。想像力なさ過ぎ。ジョン・ロール…

捕鯨問題の解決とは何か?

毎日新聞より。 http://mainichi.jp/select/today/news/20120108k0000e040137000c.html 調査捕鯨:シー・シェパードか 3人、日本船に乗り込む 2012年1月8日 12時59分 更新:1月8日 19時36分 水産庁は8日、オーストラリアの西部沖で、日本の調査捕鯨船を監…

大村敦志氏と内田貴氏の民法改正本を比較する:どちらも単なる民法の問題ではなく大きな政治の問題を背景にもつ良書

今回は債権法改正について書かれた二冊の新書、大村敦志『民法改正を考える』(2011)と内田貴『民法改正』(2011)を比較してみたい。民法改正を考える (岩波新書)作者: 大村敦志出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/10/21メディア: 新書購入: 3人 クリック:…

「みんなで決めよう『原発』国民投票」が条例制定を大阪市に直接請求:脱原発について国民投票をすべきか?

朝日新聞より。http://www.asahi.com/national/update/0109/OSK201201090059.html 大阪の原発住民投票審査へ 市民団体「法定数超す署名」 大阪と東京で原発の是非を問う住民投票を目指す市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」は9日、投票条例制…

なぜ日本の漁業(水産業)はダメなのか?

日本の第一次産業シリーズ第3回。前回、前々回と八田達夫・高田眞『日本の農林水産業』(2010)(読書メモ)を基に日本の農業・林業の問題点について書いた。今回も同様に同書に基づき漁業の問題点について書いてみる。 ●日本の漁業の現状 日本は1972-1988年にかけ…

なぜ日本の林業はダメなのか?

前回は八田達夫・高田眞『日本の農林水産業』(2010)(読書メモ)を基に農業について書いた。今回も同様にこの本を基に林業について考えてみる。自分は林業について読んだ本はこれが初めて。まったく馴染みのない分野だったので新鮮で参考になった。日本の林業に…

なぜ日本の農業はダメなのか?

今回はこの問いについて八田達夫・高田眞『日本の農林水産業』(2010)(読書メモ)を基に考えてみる。この本には日本の農業・林業・漁業の問題点と解決策が書かれている。日本の農業・林業・漁業はどれもろくでもない状況に陥っているが3業種に共通の問題がある一方…

TPP著作物再販制度問題:アメリカ、公取委、新聞社らの立場

「TPPが著作物再販価格維持制度(独禁法23条4項)の廃止につながりそうだ」という話題がある(例えばこれ)。再販制度は新聞社らのレントシーキングの結果(利権)であり、彼らのダブルスタンダードっぷりが現れているので廃止にすべきだ。しかし本当に廃止になるの…

山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』

最近著作権法と政治過程についてエントリを書くことが多かった。本書はまさにこのテーマについて書いている本であり、ぜひとも広く読まれるべき本だと思ったので、参考までに読書メモを載せておきたい。 山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(…

TPP問題:「広く弱い利害」をもつ集団から「狭く強い利害」をもつ集団に利益が移転される

TPPについての議論が盛んだが、条約の内容がハッキリしないのでよく分からない。具体的にはよく分からないので、今回は一般的に問題を見る視点として役に立つ命題を紹介したい。 それは政治的決定によって「広く弱い利害」をもつ集団から「狭く強い利害」を…

TPP著作権問題:日本側の目標は「知財強化」その背景にはポリシーロンダリング

1.TPPにおける日本側の目標は何か 福井健策氏(弁護士)のつぶやきをまとめた記事。 「TPPで日本の著作権は米国化するのか〜保護期間延長、非親告罪化、法定損害賠償」 http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20111031_487650.html もとのつぶ…

新制度論・新制度学派とは何か?

このブログで新制度論という言葉を何度か使ってきた(こことかここ)。また新制度論という言葉を使わなくとも新制度論に基づいてニュースを分析したエントリが多かった(こことかここ)。今回はこの新制度論について書いてみたい。 ●「新制度論」と「新制度学派…

モスク建設計画に地元町会「引き下がって」:マイケル・サンデル批判

現実 読売新聞より。http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111004-OYT1T00228.htm モスク建設計画難航…地元町会「引き下がって」 石川県内在住のイスラム教徒らでつくる「石川ムスリム協会」が中心となり、金沢市内で進めている県内初のモスク建設計画…

国会の会期を決めるのは誰か?

極東ブログより。http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/09/post-f977.html 麻生太郎元首相いわく、「国会の会期を決めるのは立法府ですよ。与党・政府じゃないんだ」 民主主義の原則論として、国会の開会を政府が要請するというのはあっても…

マイケル・サンデル著、小林正弥監訳『民主政の不満(下)』

以前のエントリで上巻の読書メモを載せたので、ついでに下巻も載せておく。本書を読んで分かるのはアメリカ史を通じて共和主義(≒コミュニタリアニズム)とリベラリズムの争いが続いていたこと。そしてどの局面でもリベラリズムが勝利したこと。 マイケル・サ…

「ガラパゴス」販売終了:経営学(モジュール理論)と政治学(省庁代表制)

現実と抽象 なぜガラパゴスは失敗したか。その原因は多くの人が指摘するように*1電子書籍の独自標準XMDFだろう。この因果推論は経営学の理論とも合致している。今回はそれについて述べる。 抽象 まず大前提として現代の経営学ではどこをオープンにしてどこを…

マイケル・サンデル著、金原恭子・小林正弥監訳『民主政の不満(上)』

以前のエントリで、この本を参照したので、読書メモを残しておく。 マイケル・サンデル著、金原恭子・小林正弥監訳『民主政の不満(上)』(1996)早川書房 ★★★★ 原題は『Democracy's Discontent』。邦訳は2010年。監訳者はいつもの小林正弥氏とその同僚の金原…

法と実態の乖離としての政府・与党二元体制

以前のエントリで政府・与党二元体制が復活しつつあるということを書いた。また、以前から、法と実態の乖離の問題を指摘している(例えばパチンコや体罰)。今回は政府・与党二元体制も法と実態の乖離の一つであるということについて。 タテマエでは、すなわち…

「放射能つけた」発言:政治は結果責任 道徳は要らない

現実 日本の現実から考えれば、このような発言がこのような批判につながるのは誰でも予想がつくことだろう。 ドラゴン松本の復興相辞任など、このような例はいくらでもある。 抽象 理論的に考えれば、このような批判はまったく馬鹿げている。政治が結果責任…

各府省連絡会議と事務次官等会議:閣議の事前審査になるかが問題

毎日新聞より。 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110907k0000m010084000c.html 野田政権:府省連絡会議を強化…首相、事務次官に協力要請 […] 野田佳彦首相は6日、事務次官が出席する各府省連絡会議の機能強化を決めた。これまでは東日本大震災の対…