書評

出川通『新事業とイノベーションにおける知財の活かし方』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの52冊目。前回に続いて今回も知財。経営学にMOT(management of technology)という分野がある。技術経営と訳される。この分野は主にイノベーションをテーマにしていることが多く知財(主に特許)とも関連が深い。本書も…

石井正『世界を変えた発明と特許』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの51冊目。今回は知財。著者の石井正氏は元特許庁の官僚。現在は大阪工大の知的財産学部長。知財ブームの時にこの学部を作った本人。特許庁OBにありがちだが、石井氏は特許の歴史についての本を何冊か書いており本書…

今週のお題「オススメのマンガ」真鍋昌平『闇金ウシジマくん』における近代的自我

闇金ウシジマくん 1 (ビッグコミックス)作者: 真鍋昌平出版社/メーカー: 小学館発売日: 2004/07/30メディア: コミック購入: 10人 クリック: 646回この商品を含むブログ (213件) を見る ●オススメする理由 オススメする理由は現代の日本人全員にとっての実存…

郷原信郎『組織の思考が止まるとき』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの50冊目。今回は今まで何度か言及してきた元検察官の郷原信郎氏(弁護士)の著書を。郷原氏の著書は検察批判ものとコンプライアンスものに大きく分かれるが本書は村井厚子氏の郵便不正事件を扱っており、検察のコンプ…

木山泰嗣『弁護士が教える本当は怖いハンコの話』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの49冊目。前回の『憲法がしゃべった。』に続いて今回も木山氏。弁護士が教える本当は怖いハンコの話 (祥伝社黄金文庫)作者: 木山泰嗣出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2011/04/13メディア: 文庫 クリック: 7回この商…

木山泰嗣『憲法がしゃべった。』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの48冊目。木山泰嗣氏は弁護士。税法が専門のようだ。『小説で分かる○○法』みたいな本を読んだのがきっかけ。木山氏の著書の特徴は非常に速く読めること。どれも30分程度だろう。そもそも文字数が少ないのもあるが、…

中谷和弘、植木俊哉、河野真理子、森田彰夫、山本良『国際法[第2版]』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの47冊目。前回の棟居快行、赤坂正浩、松井茂記、笹田栄司、常本照樹、市川正人『基本的人権の事件簿[第4版]』に続いて法学のテキストを。 本書は国際法の教科書。国際法の最初の一冊として読んだ。有斐閣アルマシリ…

棟居快行、赤坂正浩、松井茂記、笹田栄司、常本照樹、市川正人『基本的人権の事件簿[第4版]』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの46冊目。前回の長谷部恭男氏(『法とは何か』)に続いて憲法学者のものを。基本的人権の事件簿 第4版 憲法の世界へ (有斐閣選書)作者: 棟居快行,赤坂正浩,松井茂記,笹田栄司,常本照樹,市川正人出版社/メーカー: 有斐…

長谷部恭男『法とは何か』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの45冊目。長谷部恭男氏は東京大学教授、法学者。専門は憲法。芦部信喜氏と樋口陽一氏の門下。自分のリベラリズムについての知識は多くを長谷部氏に拠っている。憲法学の知識も。長谷部氏のスゴいところは憲法学に法…

大村敦志『民法改正を考える』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの44冊目。前回の内田貴『民法改正』と同じ民法改正というテーマで、同じ時期に、同じ新書で出版された本書を。なお、二冊を比較するエントリを以前に書いている(「大村敦志氏と内田貴氏の民法改正本を比較する」)。…

内田貴『民法改正』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの43冊目。前回は福井健策『ビジネスパーソンのための契約の教科書』を紹介し法学の分野に入ったのでこれから数冊は法学モノを紹介しようかと。まず契約法つながりで本書を。 本書の著者は元東大教授、現法務省の民法…

福井健策『ビジネスパーソンのための契約の教科書』

2011年に出版された本を紹介するシリーズの42冊目。前回の岡田斗司夫、福井健策『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』に続き福井健策氏(弁護士)の本を。前回は著作権ビジネスに関する対談本だったが、今回は契約法に関する新書。前回の本も今回の本もオス…

岡田斗司夫、福井健策『なんでコンテンツに金を払うのさ?』

昨日はつい2012年の津田大介『情報の呼吸法』を紹介したが、2011年に出版された本を紹介するシリーズの途中だった。今日で41冊目。今回は昨日のエントリでも言及した本書を紹介したい。津田氏の本と興味をもつ人が重なりそうな気もするし。偶然だが昨日言及…

津田大介『情報の呼吸法』

以前、山田奨治『日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか』(2011)という本を「ぜひとも広く読まれるべき本だと思ったので」紹介した。その記事を津田大介氏にtwitterで言及してもらったらしく、その記事は(本ブログにしては)よくアクセスされた。 なので「読…

伊東光晴『日本の伏流』

2011年に出版された本を紹介する40冊目。前回まで紹介していた高橋洋一氏と同様「経済+政治ニュース」の本として伊東光晴氏の単著の読書メモを。伊東氏は6冊目に紹介したケインズ学会編、平井俊顕監修『危機の中でケインズから学ぶ』の執筆者の一人でもある…

高橋洋一『財務省が隠す650兆円の国民資産』

2011年に出版された本を紹介する39冊目。前回紹介した『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』に続いて高橋洋一氏。今回は36冊目の『官愚の国』と同様に高橋氏のベースである官僚批判本。2011年の高橋氏の著書ではベストかな。財務省が隠す650兆円の国…

高橋洋一『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』

2011年に出版された本を紹介する38冊目。前回紹介した高橋洋一、三橋貴明『大震災で日本は金持ちになるか、貧乏になるか』に続いて高橋洋一氏。今回は少し傾向が変わって確率統計についての記載が結構ある本。高橋氏が東大経済学部でベイズ推定を勉強してい…

高橋洋一、三橋貴明『大震災で日本は金持ちになるか、貧乏になるか』

2011年に出版された本を紹介する37冊目。前回紹介した『官愚の国』に続いて高橋洋一氏。今回は三橋貴明という人と章ごとの分担執筆になっている。三橋氏の本ははじめて読んだが「信用できない」という印象を受けた。高橋氏の方はいつもの重複ぶりで新しい話…

高橋洋一『官愚の国』

2011年に出版された本を紹介する36冊目。前回紹介した『高橋教授の経済超入門』に続いて高橋洋一氏。本書は『さらば財務省!』(2008)から延々と出し続けている官僚批判本の一冊。氏の官僚批判本はどれも似たようなものだが、本書は特に重複が激しく新しい内…

高橋洋一『高橋教授の経済超入門』

2011年に出版された本を紹介する35冊目。前回紹介した『これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本』に続いて高橋洋一氏。本書は経済ニュースのキーワードを解説する日本経済入門本という位置づけだが、実際はいつもの「増税反対、日銀法を改正してイン…

高橋洋一『これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本』

2011年に出版された本を紹介する34冊目。前回紹介した『この経済政策が日本を殺す』に続いて高橋洋一氏。本書も似たような内容の本。高橋氏の著書は、数は多い一方、内容の重複っぷりは半端ない。これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本 (アスコムBOO…

高橋洋一『この経済政策が日本を殺す』

2011年に出版された本を紹介する33冊目。前回紹介した岩田規久男氏が自分の中では「経済ニュース担当」という位置づけだが、「経済+政治ニュース担当」なのが高橋洋一氏。経済政策に関しては二人の主張は結構共通している。高橋氏は経済政策を政治過程に基…

岩田規久男『ユーロ危機と超円高恐慌』

2011年に出版された本を紹介する32冊目。今回は岩田規久男氏。岩田氏の本は2011年にたぶん5冊出ていてそのうち4冊は紹介したが、未読だった最後の一冊を読んだので紹介したい。11冊目として紹介した『デフレと超円高』を岩田氏の2011年ベストと推していたが…

小松正之『日本の鯨食文化』

2011年に出版された本を紹介する31冊目。昨日の『海は誰のものか』に続いて小松正之氏。小松氏はもともと捕鯨問題に関する国際的な交渉の日本側の中心人物として有名になった人だ。なのでクジラ関係の著書がかなり多い。本書はその最新の一冊といえる。小松…

小松正之『海は誰のものか』

2011年に出版された本を紹介する30冊目。昨日松岡正剛『日本のもと 海』を紹介したつながりで、今日は以前からこのブログで参照している元水産官僚の小松正之氏を。自分の漁業関係の知識はすべてこの人に由来する。といっても去年読み始めたばかり。読み始め…

松岡正剛 監修『日本のもと 海』

2011年に出版された本を紹介する29冊目。今日も昨日の『アートな言葉』に続いて松岡正剛氏の本だが、雰囲気が変わって子ども向けの本。しかし、意外とあなどれない。結構知らないことが書いてあった。日本のもと 海作者: 松岡正剛出版社/メーカー: 講談社発…

松岡正剛『アートな言葉』

2011年に出版された本を紹介する28冊目。昨日の『リスクな言葉』に続いて松岡正剛氏の本を。昨日のエントリーに書き逃したが、松岡氏の日本文化論については私がまだ手をつけていないので(未読なので)、それらの本はこのブログでは紹介の対象にはなっていな…

松岡正剛『リスクな言葉』

2011年に出版された本を紹介する27冊目。松岡正剛氏については本ブログでは『多読術』を引用してきた(以前のエントリ:本を速く読むにはどうしたらいいか?)。私が松岡氏を読み始めたキッカケは氏のブログ「千夜千冊」だろう。人名とか書名で検索すると、こ…

夏野剛『i Phone vs. アンドロイド』

2011年に出版された本を紹介する26冊目。佐々木俊尚氏に続いてネットでの有名人夏野剛氏の著書を。初めて読んだ夏野氏の著書は『iモード・ストラテジー』だったと思うが読んだキッカケは思い出せない。今は批判するために読んでいるような状態。iPhone vs. …

佐々木俊尚『キュレーションの時代』

2011年に出版された本を紹介する25冊目。今回は24冊目まで取り上げていたホリエモンを私が読むキッカケ(『ライブドア資本論』(2005))になった佐々木俊尚氏を。 ではその佐々木氏を読むキッカケは何だったかと言うと、CNETか何かに連載していた記事を読んで名…