中国アニメ会社、著作権侵害でソニーに巨額の賠償請求:再び間接侵害のリスク

2ちゃんまとめサイトより。
http://news4vip.livedoor.biz/archives/51868249.html
元記事はレコードチャイナ。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=59739

ソニーのTVをネットに繋いだら無料で視聴可能に…中国アニメ会社著作権侵害で巨額の賠償請求
ソニー液晶テレビをネットにつないだところ、中国産アニメ4作品が無料で視聴できたとして、著作権側である中国のアニメ会社ソニーを含む2社を著作権侵害で訴え、230万元(約3000万円)の損害賠償を求めた。写真はソニーの3Dテレビ。


法制晩報によると、ソニーのある液晶テレビをネットにつないだところ、中国産アニメ4作品が無料で視聴できた。これが著作権側である中国のアニメ会社の怒りを招き、アニメ会社ソニーを含む2社を著作権侵害で訴え、230万元(約3000万円)の損害賠償を求めた。中国のアニメ・マンガ業界が世界大手企業を相手に著作権侵害を訴えたのはこれが初となる。人民網日本語版が伝えた。


昨年4月、上海水木動画股フェン有限公司のある職員がソニー液晶テレビ「KDL−40NX710」を購入した。このテレビには、ネットにつなげばウェブサイトを閲覧できるという機能が備わっていた。ネットに接続したパソコン上でソニーが提供する登録用サイトにアクセスし、サイトの指示にしたがってテレビのネット登録を済ませれば、テレビで北京華夏安業科技有限公司が提供する動画サービスを楽しめるようになる


登録完了後、この職員はテレビの操作画面で華夏安業が提供する「児童向け漫画アニメ」のコーナーをクリックした。すると意外なことに、水木動画が制作したアニメ「中華五千年」とその子会社・億唐動画が制作した「寓言故事」、「孫子兵法」、「成語故事」が現れたのだ。水木動画と億唐動画はソニー華夏安業にアニメの放映権を提供していない。同職員の報告により、水木動画と億唐動画はソニー華夏安業を著作権侵害で告訴した。
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一昨日のエントリ(中国作家、アップルに6億円超請求 著作権侵害訴え:iTunes Storeの抱える間接侵害のリスク)とほぼ同じ話。本記事の訴訟も間接侵害と思われる。ソニーのテレビは著作物がネット経由で公衆送信されるのを助けているだけであり、直接侵害しているのはネットで送信可能化している企業・北京華夏安業科技有限公司だからだ。


一昨日のエントリで「間接侵害は著作権法において重要な問題」と書いたが、なぜ間接侵害が重要かと言えば、本記事のように間接侵害のリスクは至る所にあるからだ。そのエントリでは「アップルのiTunes Storeに間接侵害のリスクがある」と書いたが、アップルのみでなく、多数の企業が同様のリスクを抱えていると言える。


記事に対して「バカバカしい」などというコメントが多いが、「なぜこの中国アニメ会社の主張は認められないのか?」「なぜソニーは責任がないといえるのか?」という問いについてまともに(法的に)答えられているコメントは見当たらなかった。例えば、次のコメント。

197 名無しさん@12周年 2012/03/20(火) 19:54:40.35 id:TkXWJeAeO
著作権って知ってるんだ
ビックリした


206 名無しさん@12周年 2012/03/20(火) 19:56:05.16 ID:7KsF2+QG0
>>197
よく解ってないからこの賠償請求なんだろ?

こういうコメントを見ると「自分は分かってるぜ」的な雰囲気を醸し出してるけど「ホントはあんたも分かってないんじゃないの?」と疑ってしまう。「中国人をバカにできるほど知ってるの?」と。


ともかく、上の問いに答えるのは思っているほど簡単ではないだろう。一昨日のエントリで書いたように、ソニーに間接侵害が成立するか否かはソニーの営利性、管理性、「場所や施設の提供」などについて判断する必要があるからだ。常識的に考えればソニー管理性がなさそうな気がするが、ソニーのテレビと直接侵害の主体である北京華夏安業科技有限公司のサービスの関係も分からないし、この記事だけではどうにも結論は出せない。もちろん中国法にアメリカ・日本などとは違う特別な法理があるかも知れないし。そもそも中国に著作権の間接侵害の事例があるかも知らない。2ちゃんねらーが思ってるほど簡単じゃないということだ。