国会の会期を決めるのは誰か?
極東ブログより。http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/09/post-f977.html
民主主義の原則論として、国会の開会を政府が要請するというのはあっても、国会の会期を決めるのは立法府であり、与党または行政府ではないというのは、きちんとさせたほうがよい。
この主張に対しては、はてなブックマークの次のコメントが正しいだろう。
http://b.hatena.ne.jp/entry?mode=more&url=http%3A%2F%2Ffinalvent.cocolog-nifty.com%2Ffareastblog%2F2011%2F09%2Fpost-f977.html
どうして、民主党が衆議院の多数派であることを無視するかね?国会の会期を決めるのは与党・政府じゃないけど、衆議院の多数派が決めるのは原則論的に全く問題ないのに。自民政権時にこんな言いがかり見た事ねーぞ
麻生氏自ら言ってるように国会の会期は議会が決める。
先週金曜日の本会議でぇ、今国会のぉ延長がこの9月30日までと決まりました。
この国会の決定は議会の多数派(=与党)の決定と同一になる。それは議院内閣制の当然予定するところだ。
こんな(自分にとっては)自明なことがどうして無視されているのかよく分からない。はてなブックマークのコメントのほとんどが麻生氏の主張に賛成しているのもよく分からない。分からないが、その理由の一つとして考えられるのが日本に残る次の神話。<国会は議員が討論し、互いに説得する場である>という神話である。この神話は日本のような議院内閣制では成り立たない。議員が議会で説得されて選挙公約を変更してしまっては意味がないから。大統領制では議員は政党に拘束される度合いが小さいので、議院内閣制よりは討論・説得の神話が成り立つ。また大統領の拒否権行使を避けるため法案を修正することも一般的。議院内閣制では<国会は意見の集約(多数決)の場である>。日本は議院内閣制であり多数決の場であるはずだが、議院内閣制が三権分立と組み合わされているため、「国会での討議を活発化させよう」、「議員立法を増やそう」といった神話が残っているのだろう。
このような話はいつもの飯尾潤『日本の統治構造』(2007)に出てくる。また政治学者の川人貞史氏(東京大)の『日本の国会制度と政党政治』(2005)は日本では三権分立と議院内閣制とが組み合わされたため、上のような神話が残っていたが、その神話が戦後否定されてきたということを当時の資料や統計に基づき実証している。例えば、会期を(実質的に)決定する議院運営委員会の全会一致(すなわち与野党協議)という慣行が失われていった様子や議員立法が減っていた様子など。
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