2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

リベラリズム&意味と強度

このエントリの続き。そこではリベラリズムと正義=公正=法の関係について書いた。今回はリベラリズムとこのブログのもう一つのテーマの関係について書いてみたい。 まず以前のエントリの復習。リベラリズムは個人を尊重する社会、すなわちを目指すものだっ…

違法動画アップロードコミュニティ:なぜ二重規範のあるコミュニティが生まれるのか?

2ちゃんまとめサイトより。http://blog.livedoor.jp/insidears/archives/52495264.html 今回は結論は無いが興味深い問題なので取り上げておきたい。 動画共有サイトにおけるアニメをアップロードする際の「慣習・しきたり」にワロタwwwwww アニメーシ…

ツイッター炎上の根本にあるのは「非リア充によるリア充への嫉妬」か?

濱野智史氏が炎上の根本は「非リア充によるリア充への嫉妬」だと主張している。自分はこの主張には賛成できない。2ちゃんまとめサイトより。http://alfalfalfa.com/archives/4578447.html 元記事は週刊プレイボーイ*1。http://wpb.shueisha.co.jp/2011/09/27…

なぜダブルスタンダードは問題か?正義とは何か?なぜ憲法で13条がもっとも重要なのか?

このブログではこれまでダブルスタンダードが問題だと指摘してきた。ここでのダブルスタンダードの意味は、だ。これまでダブルスタンダードとしてテレビ局とか未成年者の飲酒とかコンプライアンス騒動とか体罰とかアメリカ特許法の先発明主義を指摘した。 今…

賠償請求書に「一切異議申し立てぬ」:この条項が入ったままでも消費者契約法で取り消せる可能性はある

現実 日経新聞より。http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C9381949EE0E4E296988DE0E4E2EBE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;bm=96958A9C93819481E0E4E2E2998DE0E4E2EBE0E2E3E39790E3E2E2E2 賠償請求書に「一切異議申し立てぬ」 東電、署名求め…

国会の会期を決めるのは誰か?

極東ブログより。http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2011/09/post-f977.html 麻生太郎元首相いわく、「国会の会期を決めるのは立法府ですよ。与党・政府じゃないんだ」 民主主義の原則論として、国会の開会を政府が要請するというのはあっても…

フジテレビデモの主催者:反原発デモ6万人

現実 フジテレビデモの主催者にデモを通じて彼女ができてデモ活動から引退するらしい。2ちゃんまとめサイトより。 http://blog.livedoor.jp/misopan_news/archives/51764651.html 1 名前:名無しさん@涙目です。(愛知県):2011/09/19(月) 07:26:56.28 id:EG…

マイケル・サンデル著、小林正弥監訳『民主政の不満(下)』

以前のエントリで上巻の読書メモを載せたので、ついでに下巻も載せておく。本書を読んで分かるのはアメリカ史を通じて共和主義(≒コミュニタリアニズム)とリベラリズムの争いが続いていたこと。そしてどの局面でもリベラリズムが勝利したこと。 マイケル・サ…

都が企業への「備蓄条例」検討:アクター・均衡・制度・制度変化

現実と抽象 珍しく石原氏がマトモなことを言っている。 台風が直撃しているのに帰宅しようと人びとがターミナル駅に殺到するのはおなじみの囚人のジレンマだ。帰宅する人はそれぞれ帰宅時間をずらした方が、全員にとって高い効用が得られることは分かってい…

東電賠償請求書に経産相「あぜん」:取引コスト・官僚制・トレードオフ

現実と抽象 この事例は契約の不完備性にともなう取引費用の典型的な事例という印象を受ける。あとは東電の官僚体質が繁文縟礼*1につながっているのだろう。これはというマックス・ウェーバーの議論から。 ノーベル経済学賞受賞者のロナルド・コース(シカゴ大…

「おすすめの本」新書モダン・クラシックス10選

なるべく多くの人にとって薦められる本ということで、前提知識がなくとも読める新書から選んでみた。 まず、丸山眞男『日本の思想』(1961)や川島武宜『日本人の法意識』(1967)や梅棹忠夫『知的生産の技術』(1969)など新書の古典>はオススメだ。 ただ、これら…

続・落とし穴事件:バカと「バカになること」と強度

以前のエントリで、石川の落とし穴事件について「馬鹿だなぁ」で済ませてしまっていたが、そんなところで思考停止している自分が馬鹿だった。改めて考えると、 1.というのはまさに強度>を求める行動ではないか。そして2.強度>を求める行動は一般的にバカな行動…

マイケル・J・サンデル著、林芳紀・伊吹友秀訳『完全な人間を目指さなくてもよい理由』

前回のエントリで『民主政の不満(上)』を紹介したが、本書も以前のエントリで参照したので、読書メモを載せておく。 マイケル・J・サンデル著、林芳紀・伊吹友秀訳『完全な人間を目指さなくてもよい理由』(2007)ナカニシヤ出版 ★★★★ 本書はいつもの政治哲…

アメリカ特許法改正案成立:事実命題と価値命題

読売新聞より。http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110916-OYT1T01267.htm 日本が悩まされた…米特許法、先願主義に転換 【シカゴ=岡田章裕】オバマ米大統領は16日、約60年ぶりの大改正となる特許法の包括的な改正法案に署名し、同法が成立した。 …

花王デモ:「幻想から強度へ」 三島由紀夫の予言

現実 2ちゃんまとめサイトによると、2000人以上が参加したそうだ。 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1664116.html このデモの中心となったのは2ちゃんの既女(鬼女)板だろう。デモの動画を見ても、以前のフジテレビデモよりさらに既女らしき参加者…

「ガラパゴス」販売終了:経営学(モジュール理論)と政治学(省庁代表制)

現実と抽象 なぜガラパゴスは失敗したか。その原因は多くの人が指摘するように*1電子書籍の独自標準XMDFだろう。この因果推論は経営学の理論とも合致している。今回はそれについて述べる。 抽象 まず大前提として現代の経営学ではどこをオープンにしてどこを…

マイケル・サンデル著、金原恭子・小林正弥監訳『民主政の不満(上)』

以前のエントリで、この本を参照したので、読書メモを残しておく。 マイケル・サンデル著、金原恭子・小林正弥監訳『民主政の不満(上)』(1996)早川書房 ★★★★ 原題は『Democracy's Discontent』。邦訳は2010年。監訳者はいつもの小林正弥氏とその同僚の金原…

法と実態の乖離としての政府・与党二元体制

以前のエントリで政府・与党二元体制が復活しつつあるということを書いた。また、以前から、法と実態の乖離の問題を指摘している(例えばパチンコや体罰)。今回は政府・与党二元体制も法と実態の乖離の一つであるということについて。 タテマエでは、すなわち…

「円高阻止」空振り:囚人のジレンマ

産経新聞より。http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110910/fnc11091023250007-n1.htm 「円高阻止」空振り 日本は蚊帳の外 2011.9.10 23:24 【マルセイユ(フランス)=田辺裕晶】G7で日本は、歴史的な円高阻止のため欧米各国に協力を訴えた。だが、協…

米国特許法「先願主義」へ:なぜ今まで先発明主義だったのか?

現実 記事(本ページ末尾)中にあるように5年ほど前から「移行するする」と言っておいて先延ばしになっていたアメリカの先願主義への移行。「移行するする」詐欺を遂に脱するかというところ。 抽象と現実 今まで"グローバルスタンダード"に反してアメリカが先発明…

「放射能つけた」発言:政治は結果責任 道徳は要らない

現実 日本の現実から考えれば、このような発言がこのような批判につながるのは誰でも予想がつくことだろう。 ドラゴン松本の復興相辞任など、このような例はいくらでもある。 抽象 理論的に考えれば、このような批判はまったく馬鹿げている。政治が結果責任…

各府省連絡会議と事務次官等会議:閣議の事前審査になるかが問題

毎日新聞より。 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110907k0000m010084000c.html 野田政権:府省連絡会議を強化…首相、事務次官に協力要請 […] 野田佳彦首相は6日、事務次官が出席する各府省連絡会議の機能強化を決めた。これまでは東日本大震災の対…

スイス中央銀行と日銀:コミットメントとウェイトアンドシー

ブルームバーグより。 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920020&sid=a.MRvB9AjT54 9月6日(ブルームバーグ):スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は6日、スイス・フランの対ユーロ相場に上限を設定すると発表した。上限設定は30年余りで初め…

幼小中で「粗食給食」:リベラリズムに反する

読売新聞より。http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hiroshima/news/20110905-OYT8T00996.htm 幼小中で「粗食給食」 被災地の苦労実感して 東日本大震災の被災地で給食の提供さえままならない状況に思いをはせようと、福山市教委は5日、市立の小中学校、幼稚…

税調復活:政府・与党二元体制とは何か?

読売新聞より。 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110903-OYT1T00087.htm 民主党、法案事前審査制を導入へ 民主党は2日、政府提出法案の閣議決定前に党側が了承を与える事実上の「事前審査制」導入を柱とした、政策決定システム見直しの原案をまと…

野田内閣 「財務省内閣だ」:政治過程を見る視点

毎日新聞より。http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110903k0000m010182000c.html 野田内閣:背後に岡田・仙谷氏 海江田氏「財務省内閣だ」 初閣議に臨む野田佳彦首相(中央)ら閣僚=首相官邸で2011年9月2日午後6時、竹内幹撮影 今回の閣僚人事…

フジテレビ 外国人による株式保有:放送法について

デモの影響なのかフジテレビが「皆様へ」というプレスリリースを出している。 http://www.fujitv.co.jp/fujitv/company/news/110902.html この中で放送法に関する部分について調べた内容を記しておく。フジテレビは次のように言っている。 ○認定放送持株会社で…

推論とは何か?(帰納と演繹)、科学とは何か?(反証可能性)

前回のエントリでバカとは推論の誤りの一種という定義を紹介した。 今回は推論自体について、自分の採用している考え方を書いてみようと思う。 この「推論」という概念は自分の中で重要な位置を占めているため。 なぜ重要かというと、一般に学問(特に科学)は推…