落とし穴事件:バカとは何か?(バカの定義)

現実と抽象

こういうニュースに接すると「馬鹿だなあ」と思ってしまう。自分の採用しているバカの定義に当てはまるので。

抽象

自分の採用しているバカの定義は、論理のつながりをすっ飛ばす者だ。簡単に言えば短絡する者といえる。理論のつながりとは「AならばB、BならばC、Cならば…」(A→B、B→C、C→…)というつながりのことを指す。論理とは基本的にこのようにAをB、BをCという形で言い換える方法だと考えている。論理を使って前提を結論に言い換えること推論というと考えている。このときのA、B、Cのことを命題と呼ぶ。

例えば、以下の命題A、B、Cを考える。A:「深さ2.5メートルの落とし穴を掘る」、B:「落とし穴に夫を落とす」、C:「驚く夫を見て自分が楽しい」とする。ここでA→B→Cという推論をするのが論理のつながりをすっ飛ばすことだ。言い換えると、ここでA→B→Cという推論をするのが、自分の定義によるバカだ。
論理のつながりをすっ飛ばしているのは、BとCの間だ。BとCの間には「夫が大怪我をする」という命題(ほかに「崩れて埋まる」とか)が挟まるはずなので、BとCはつながらない。

どうしてこのような論理の飛躍をしてしまうのか。命題の連鎖のうち注目する部分が少なすぎるからだろう。例えば、「最初(A)と終わり(C)にしか注目しない」「結果(C)にしか注目しない」などだ。

このような例として思い出すのは、「電子レンジで濡れたネコを乾かそうとして殺したアメリカ人女性がいる」という話だ。これはA:「電子レンジはモノを温める」→B:「電子レンジでネコは温まる」→C:「ネコは乾く」という推論だろう。しかしBとCはつながらない。AはA':「電子レンジはモノに電子を当てる」→A'':「水分子が振動しモノが温まる」に分解されるからだ。するとB→「ネコは身体全体の水分子が振動し身体全体の温度が上昇し死ぬ」というつながりになる。よってCにはつながらない。たしかに毛も乾くかもしれないが。

以上のように、自分の採用するバカの定義は推論の誤りの一種だ。しかし推論の誤りがすべて「バカ」に値するとは思っておらず、やはり、常識的に考えて、論理の飛躍がはなはだしい場合の誤りが「バカ」と呼ぶにふさわしいと考える。

現実

NHKより。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110828/t10015198991000.html

妻が掘った穴に転落 夫婦死亡
8月28日 5時31分
27日夜、石川県かほく市の海岸で砂浜に掘られた穴に23歳の夫婦が転落し死亡しました。転落した穴は、妻が夫を驚かそうと友人と一緒に掘った落とし穴だったということです。
27日午後10時すぎ、石川県かほく市の大崎海岸で、金沢市の会社員、出村裕樹さん(23)と妻の里沙さん(23)が、砂浜に掘られた穴に転落し、砂に埋まりました。2人は、近くにいて悲鳴を聞いた友人からの通報で、駆けつけた消防によっておよそ2時間後に助け出されましたが、すでに意識はなく、搬送先の病院で死亡が確認されました。死因は砂に埋まったことによる窒息死とみられるということです。警察の調べによりますと、2人が転落した穴は里沙さんが夫の裕樹さんを驚かそうと友人4、5人と一緒に27日の昼すぎから掘ったもので、直径が2メートル40センチ、深さが2メートル50センチほどあり、シートでふたをして、上から砂をかぶせていたということです。夜になって里沙さんが裕樹さんを現場に連れて行ったところ、2人とも転落したということで、警察は近くにいた友人から話を聞くなどして、詳しいいきさつや転落した状況などを調べています。