「円高阻止」空振り:囚人のジレンマ

産経新聞より。http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110910/fnc11091023250007-n1.htm

円高阻止」空振り 日本は蚊帳の外
2011.9.10 23:24
 【マルセイユ(フランス)=田辺裕晶】G7で日本は、歴史的な円高阻止のため欧米各国に協力を訴えた。だが、協力的な声は得られず、逆に世界経済の減速懸念に対処したい各国からは、「蚊帳の外」に置かれてしまった。
 「(各国の反応は)申し上げられない。私に対して発言を求めた国がなかったことは事実だ」。安住淳財務相G7閉幕後にこう述べた。
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 会議前、安住財務相は「日本経済に下ぶれ感が出るのは、世界経済にとって決して良いことではない。そういう点で認識を共有してもらいたい」と、説得に自信をみせていた。
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 輸出振興のため自国通貨安を放置したい欧米各国を前に、もともと日本の円高対策は、「何を言っても耳を傾けてもらえない」(国際金融筋)話題だ。日本は、一日も早い改善を求める産業界に応えるため、対外折衝の見直しを迫られる。

抽象

以前のエントリ(『スイス中央銀行と日銀:コミットメントとウェイトアンドシー』)で「安住財務相がG7で「円高についての懸念を伝えたい」などと言っているが何も意味もないだろう。G7には通貨安競争という「囚人のジレンマ」を解決するような強制力がないためだ。」と書いた。

抽象と現実

まさに書いた通りのようなことになっていた。
記事中の「世界経済にとって決して良いことではない[…]」と、説得に自信をみせていた」が「輸出振興のため自国通貨安を放置したい欧米各国を前に、もともと日本の円高対策は、『何を言っても耳を傾けてもらえない』」という流れは、まさに「囚人のジレンマ」において悪い均衡(裏切り、裏切り)から良い均衡(協力、協力)へ移ろうとしても移れないというジレンマっぷりを表していてよい。