文教堂が同人誌販売開始:承諾なき二次創作は侵害

以下の記事の間違いを指摘しておきたい。
文教堂が同人誌販売開始 著作権問題に注目集まる」
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20111031-00021890-r25

首都圏を中心に展開する大手新刊書店チェーン・文教堂が、アニメ・コミック専門店「アニメガ」をオープンするにあたり、同人作品の委託販売を始めると発表した。

とのこと。問題は次の部分。

現在、出回っている同人誌の多くがオリジナル作品ではなく二次創作であることは、紛れもない事実。そうした二次創作物は著作権侵害にあたる可能性があり、その判断は非常に難しい。合法ラインをデジタルに線引きできないので、作品ごとに定性的な判断を迫られるためだ

何を言っているんだ。以下の引用からも分かるように二次創作することは原著作者の承諾がない限り、著作権(のうちの翻案権)侵害だ。

二次的著作物を創作する場合、原作の著作者の承諾が必要であり、無断でこれを行った場合、原作の著作権の侵害となります(著27条)。
http://www.saegusa-pat.co.jp/copyright/cr_02_1.htm (三枝国際特許事務所)

原著作者の許諾を得ずに二次的著作物を製作すれば、翻案権の侵害になります。
例えば、上記の例で、B[引用者註:映画製作会社]がA[映画の原作を書いた小説家]に無断で映画を製作していれば、Bの行為はAの翻案権を侵害することになります。
http://www.netlawyers.ne.jp/ando/tyosakuken/3tyosakubutu-nijitekityosakubutu.htm (安藤信彦氏(弁護士)のサイト)

他の著作物(もとになる著作物として、「原著作物」といいます)を利用して新たに作品(原著作物に対して「二次的著作物」といいます)を創作する場合、原著作物の著作者からは、原著作物を改変等(「翻案」といいます)して二次的著作物を創作することに関する許諾(「翻案権」の許諾)を得る必要があります。
http://www.kottolaw.com/FAQ.html (骨董通り法律事務所)*1

著作権法第二十七条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

*1:昨日のエントリの福井健策氏の事務所。