国際収支統計における日本の著作権収入はいくらか?(1996年から2010年)

共同通信より。http://www.47news.jp/CN/201111/CN2011110301000346.html

米の著作権収入72兆円超 業界団体「経済成長の鍵」
 【ワシントン共同】昨年1年間に米国の映画、音楽、コンピューターソフトなどが生み出した著作権収入が計9318億ドル(約72兆8千億円)に上るとの試算を、業界団体が2日発表した。米ソフト産業が、低迷する米経済をけん引する「成長のエンジン」になっていると強調。著作権の法的保護に向けた一層の取り組みを政府に求めている。
 まとめたのは映画や音楽などの業界でつくる「国際知的財産権連盟」。
 2010年は前年比約300億ドル増加し、国内総生産(GDP)比約6・4%に達した。国外収入は約1340億ドルに上り、航空機や自動車などの代表的産業を大きく上回ったという。
2011/11/03 16:30 【共同通信


発表したIIPA(「国際知的財産権連盟」)という団体はアメリカの著作者団体の団体。メンバーには例えば全米レコード協会(RIAA)がいる。

国外収入は約1340億ドルに上り、航空機や自動車などの代表的産業を大きく上回ったという。

どういう計算で出した数字かまでは知らないが(大きく見せたいのだろうが)、「そりゃアメリカはTPPでも何でも知財強化したいだろうな」という感じ。「じゃあ日本は?」と思ったので、よく参照される国際収支の中の「サービス収支」の中の「著作権等使用料」を調べてみた。


国際収支統計より。http://www.stat-search.boj.or.jp/index.html (日銀)

グラフは上から支払い(合計)、支払(対米)、受取(合計)、受取(対米)、収支。単位は億円。

年  収支 受取(合計) 支払(合計) 受取(対米) 支払(対米)
2009 -5082 1489 6569 776 4169
2010 -5656 1588 7243 928 4607


日本は大体5000億円程度の赤字。そして支払いのかなりの割合を対アメリカが占めると分かる。ただし、対米支払はプログラムが多くを占めるのだと思う。


この5000億円という数字を記事中のアメリカの数字と単純に比べることはできないだろう。
そもそも、自分は著作権について貿易収支とサービス収支が具体的にどう分かれているのか詳しくは知らない。例えば、映画は著作権のロイヤルティなのかフィルムの代金なのかとか。
ということでこの数字から言えるのは「日本の統計では日本は常に赤字、そして対アメリカの支払いが大きい」ということだけだろう。あと2000年代半ばから政府が「クールジャパン」などとコンテンツ業界の産業振興をしているが、その効果が疑わしいということも言えるだろう。


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