堀江貴文『0311再起動』
2011年に出版された本を紹介する16冊目。今回も15冊目東洋経済新報社編集部『震災からの経済復興』に続いて震災関連。私がホリエモンの本のどこに読む価値を見出しているかについては以前のエントリを参照。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2011/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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堀江貴文『0311再起動』(2011)徳間書店 ★★★
『収監』に続いて堀江貴文氏。今回は東日本大震災とその後の復興について。
【第1・2章】
大震災について。
電力が喪失していたとしても冷却システムさえ生きていれば、問題はないだろう(p.14)
震災当日のコメントのようだが、一体何を言っているんだ?堀江氏が当日の時点では何も分かっていなかったことが分かる。
震災当日に深夜3時までtwitter上でフォロワーの安否確認情報を拡散していた。いつものことだが、堀江氏は結構公共心がある。
54基の原発が稼動している以上、原子力発電がコストとリスクが最も低い。
これはおかしい。全額がサンクコストになるならっていう条件での話。「今後原発を増やすか減らすか」という話なら別だろう。あれだけの被害が出てコストが最も低いとはとても思えない。
自粛したところで、いいことはない(p.86)
まったく同感。自分は「自粛」という概念が大嫌いだ。
【第3章】
復興後の東北の未来を描いた小説になっている。この東北は国防・外交以外すべて地方分権でほぼ国家になっている。ネットによる直接民主制で、最小限国家で、社会保障はベーシックインカムだけで・・・といういかにも堀江氏が好きそうな話。なお、福島第一原発の跡地はロケット発射場になっているが、そこを「グランド・ゼロ」と呼んでいる。え?"大きなゼロ"って何?NYのグラウンド・ゼロの意味も分かっていなかったのか。
【第4章】
岡田斗司夫氏が会社を作り、社員300人「から」一人月1万円をもらっている。堀江氏も社員の一人。何が目的か。岡田氏が対価なしに文章を発表するため。これにより岡田氏の文章を以前より世の中に広めることができる(無料だから)。これは面白い。この部分は本書を読んで参考になった。
堀江氏は宝塚歌劇団も同じような組織だとしている。興行収入はほとんど舞台(衣装・大道具・小道具)に消える。つまり原価が非常に高い。では人件費はどこから出てるか。ファン主催のお茶会やミーティングの会費からだそうだ。このようにすることで、団員(劇団)はファンの要望を取り入れることになる。
つまり、このような組織は出資する側とされる側が、従来の会社・株主よりも対等な関係を目指す点で異なるということ。
【対談】
巻末に瀬戸内寂聴氏との対談が載っている。
瀬戸内 清貧が美しいなんて言うけれど、どうかと思うわよ。(p.215)
同感。「自粛」も大嫌いだが「清貧」も嫌いだ。
堀江 寂聴さんの異性関係とかって、どうなんですか?
瀬戸内 ん?(p.226)
さすが。イキナリ切り込むところが面白い。瀬戸内氏に「ん?」と言わせるのは難しいのでは。このあと普通に答えてるけど。
【関連エントリ】
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- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 1994/04/08
- メディア: 単行本
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