「失われた20年」の原因は何か?:需要から考える

高度成長(1955〜70)の原因は内需拡大だった。例えば、自動車・家電(「三種の神器」)。
高度成長の終了後(70年代以降)は、需要が飽和し、成長は輸出主導となった。
しかし、プラザ合意(1985)で輸出主導は難しくなり、内需拡大が必要になった。
そこで道を誤った日本は地方のリゾート開発・都心のオフィスビル開発に手を出してバブルをまねき、バブル崩壊(1990)後、本格的な低成長時代に移る。
そして内需が見つからないまま、「失われた20年」で今に至る。


本来なら欧米並みの広い家など経済的に豊かになった日本人がお金を"生活の楽しさ"に替えるように消費させるべきだった。しかしそれができなかった。
2000年代以降、ITが"生活の楽しさ"を担い始めている。
ITはお金を使わないで"生活の楽しさ"を与えてくれる。例えば、コミュニケーション、コンテンツ。twitteryoutubeなど例を挙げるまでもないだろう。
ITで"生活の楽しさ"は得られるが経済は成長しない。この現状をどう評価するか難しいところだ。


以上をまとめると、

日本は80年代から探していた内需を見誤ってバブルを招き、見つからないうちに90年代のIT革命を迎え、ITが需要を創るだけで、経済全体への効果は小さい

となる。
これが需要からみた「失われた20年」の原因の一つのとらえ方。もちろん「失われた20年」の原因なんていう大きな問題に簡単に答えが出るわけでもなく一つの見方に過ぎないが。


【参考文献】

大停滞

大停滞

高度成長―日本を変えた6000日 (20世紀の日本)

高度成長―日本を変えた6000日 (20世紀の日本)