高橋洋一『官愚の国』
2011年に出版された本を紹介する36冊目。前回紹介した『高橋教授の経済超入門』に続いて高橋洋一氏。本書は『さらば財務省!』(2008)から延々と出し続けている官僚批判本の一冊。氏の官僚批判本はどれも似たようなものだが、本書は特に重複が激しく新しい内容はほとんどない。が、書いてあること自体は悪くない。まあ、同じ氏の官僚批判本なら本書より『さらば財務省!』や新刊では『財務省が隠す650兆円の国民資産』(2011)の方が読む価値はある。そう考えると本書の出番はないな。
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2011/03/19
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 45回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
高橋洋一『官愚の国』(2011)詳伝社 ★★★
いつもの高橋洋一氏。本書は原点に戻って官僚批判の本。内容はこれまでのこの手の本とほとんど同じ。内容が重複しすぎてメモすることがほとんどない。ただ本の内容自体は悪くないので、氏の官僚批判を読んだことない人にはいいかもしれない。高橋氏の本でもっとも読む価値があるのは官僚批判だろうから。
以下、簡単に内容のメモ。
●なぜ財務省は強いのか
第一に、予算・人事・国家公務員の全体数を握っているため。人事というのは人事院に出向しているため。全体数というのは総務省に出向しているため実際は財務省。
以上から財務省は天下り用の特殊法人の予算・人事・全体数をも握っているといえる。よって特殊法人を作るのに財務省の協力が必ず必要。よって財務省はどの特殊法人にも天下りポストをもっている。
第二に、国税庁という警察力をもっているため。
●産業政策批判
産業政策には意味がなかった。高度経済成長期においても。例えば竹内弘高氏(一橋大)や三輪芳朗氏(東京大)の研究成果。
【参照文献】
小宮隆太郎・奥野正寛・鈴村興太郎『日本の産業政策』 ※高橋氏は本書に<産業政策には意味があった>と書いてあると批判しているが、山形浩生氏は<産業政策には意味がなかった>と書いてある本だと正反対のことを言っているんだが。
山本七平『「空気」の研究』
城山三郎『男子の本懐』『官僚たちの夏』
大森彌『行政学叢書4 官のシステム』 ※東大出版会の行政学シリーズ。以前のエントリで同シリーズの山口二郎『内閣制度』(2007)を紹介した。
【関連エントリ】
- 高橋洋一『この経済政策が日本を殺す』
- 高橋洋一『これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本』
- 高橋洋一『高橋教授の経済超入門』
- 高橋洋一、三橋貴明『大震災で日本は金持ちになるか、貧乏になるか』
- 高橋洋一『統計・確率思考で世の中のカラクリが分かる』
- 高橋洋一『財務省が隠す650兆円の国民資産』
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/03/19
- メディア: 単行本
- 購入: 18人 クリック: 545回
- この商品を含むブログ (146件) を見る
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/14
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 58回
- この商品を含むブログ (10件) を見る