書評

橋本治『いちばんさいしょの算数2』

橋本治『いちばんさいしょの算数2』(2008)筑摩書房 ★★★★ 『いちばんさいしょの算数1』(読書メモ)の続き。本書は割り算と引き算について。ページ数の大部分が割り算に当てられており引き算は最後に少しだけ。教える順序を加減乗除ではない順番に変えている…

橋本治『いちばんさいしょの算数1』

以前のエントリでことが近代社会の前提だと書き、ことについて書いた橋本治『いま私たちが考えるべきこと』の読書メモを載せた。その次に、で、というエントリを書いた。 今回は、橋本治『いちばんさいしょの算数1』の読書メモを。本書は橋本氏が子どもに足…

ジョン・スチュアート・ミル著、山岡洋一訳『自由論』

以前のエントリでリベラリズム、正義=公正=法、個人の尊重(憲13条)について書いた。これらの問題について理解するにはやはりミルの『自由論』が参考になるだろうということで読書メモを載せておく。先月、山岡洋一氏が亡くなったこともあり(以前のエントリ…

内田樹・中沢新一・平川克美『大津波と原発』

中沢新一氏が「緑の党」を立ち上げるというニュース(本エントリ末の記事)。 中沢氏の著書は読んだことがないが、内田樹氏との対談を以前に読んだ。そこで「緑の党」の話をしていた。その対談を読む限り、中沢氏の発言は下らないものばかりであった。こんな馬…

マイケル・サンデル著、小林正弥監訳『民主政の不満(下)』

以前のエントリで上巻の読書メモを載せたので、ついでに下巻も載せておく。本書を読んで分かるのはアメリカ史を通じて共和主義(≒コミュニタリアニズム)とリベラリズムの争いが続いていたこと。そしてどの局面でもリベラリズムが勝利したこと。 マイケル・サ…

「おすすめの本」新書モダン・クラシックス10選

なるべく多くの人にとって薦められる本ということで、前提知識がなくとも読める新書から選んでみた。 まず、丸山眞男『日本の思想』(1961)や川島武宜『日本人の法意識』(1967)や梅棹忠夫『知的生産の技術』(1969)など新書の古典>はオススメだ。 ただ、これら…

マイケル・J・サンデル著、林芳紀・伊吹友秀訳『完全な人間を目指さなくてもよい理由』

前回のエントリで『民主政の不満(上)』を紹介したが、本書も以前のエントリで参照したので、読書メモを載せておく。 マイケル・J・サンデル著、林芳紀・伊吹友秀訳『完全な人間を目指さなくてもよい理由』(2007)ナカニシヤ出版 ★★★★ 本書はいつもの政治哲…

マイケル・サンデル著、金原恭子・小林正弥監訳『民主政の不満(上)』

以前のエントリで、この本を参照したので、読書メモを残しておく。 マイケル・サンデル著、金原恭子・小林正弥監訳『民主政の不満(上)』(1996)早川書房 ★★★★ 原題は『Democracy's Discontent』。邦訳は2010年。監訳者はいつもの小林正弥氏とその同僚の金原…

橋本治『いま私たちが考えるべきこと』

前回のエントリでこととということの関連について書いた。この二つの問題を繰り返し取り上げて論じているのが作家の橋本治氏。自分は橋本氏の小説は読んでいないが、今の日本でこの人以上の評論を書く作家はいないだろうと思う。自分が橋本氏を好きな理由は…

ポール・クルーグマン著、山岡洋一訳『良い経済学 悪い経済学』

時事通信より。http://www.jiji.com/jc/c?g=obt_30&k=2011082200280 山岡 洋一氏(やまおか・よういち=翻訳家)20日午前0時4分、心筋梗塞のため横浜市の病院で死去、62歳。神奈川県出身。葬儀は27日午前10時から同市緑区長津田5125の1の横浜…

アルベール・カミュ著、窪田啓作訳『異邦人』

最近について書いているので(こことここ)、それをよく表現したアルベール・カミュ『異邦人』(1942)を読んだときの読書メモを載せておこうと思う。以下メモから。 アルベール・カミュ著、窪田啓作訳『異邦人』(1942)新潮社 ★★★★★ 最近ニーチェを読んでいる…